家族への感謝と思いやり
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皆さん、遺言とは何なのでしょうか?
民法の規定を要約すると「人が自分の死後に実現して欲しい相続の内容を自分の責任で法律
に則った形式で残しておくもの」となります。
しかし私は「遺言書は残された家族への感謝と思いやりの形」と相談者に説明しています。
近未来の仮定の話をします。
夫婦2人きりで長年商売をやってきたのご家庭で、お正月に妻に言われて自筆証書遺言を
書いた夫がいたとします。
『自分の死後は、自分の財産は全てを妻○○花子に相続させる。○○太郎 ○○姓の三文判
平成21年お正月』と便せんに自筆で書いた直後に餅を喉に詰まらせて亡くなりました。
さあ、正月早々の葬儀が明け、49日法要の後に奥様は困ったことになります。
亡くなった旦那様の兄弟姉妹から、「その遺言状は本当にあの太郎が書いたものなの?あの
目出度い正月にそんなモノを書くかしら? 仮に書いたとしたら、花子さんがむりやりそんな
モノを書かせたから突然太郎が死んじゃったのよ。」と感情に任せて責める一場面があります。
「良いわよ、今更何を言われても。これ以上何か文句を言われる前に私には、あの人の遺言
状があるから自分で預貯金や不動産の手続きをするわ」と花子さんが動き出します。
先の遺言状は実に簡潔な内容ですが、法律論的にもギリギリ許容される形式となっています。
しかし、花子さんは金融機関の窓口係員には「これでは手続き出来ませんね。こちらの書式
に相続人全員が遺産分割協議に同意したことの署名と実印での押印、そして全員の印鑑証明を
持ってきて下さい。名寄せをしてみると他にも金融債権がありましたので書類は全部で3件で
すね」と言われてしまいました。
次に不動産の名義変更手続き頼もうと司法書士事務所に訪れた際には「遺産分割協議書は私
が作って差し上げても宜しいのですが、その書類に相続人全員の署名と実印での押印、全員の
印鑑証明を持ってきて下さい。その上で、相続人全員に私がお電話をして意思の確認をします
ので、皆さんのお電話番号を教えて下さい」と言われました。
ここでビックリして、更に他の行政書士事務所に相談に行きます。
そこで「実際に自筆証書遺言状があった場合には、それを開封する前に相続人全員で家庭裁
判所に出向いて検認の手続きをする必要があった のです。予約が必要で2ヶ月位掛かります。
今からでも手続きをされますか?少なくとも不動産の名義変更は出来るはずですよ。全ての
手続きは私が全て責任を持って行います。登記だけは提携する司法書士事務所に依頼します。
遺言状をもう開けてしまったことは仕方ありませんから、変な小細工をせずにそのまま提出し
ましょう。」と説得されました。
そこで、慌てて皆に連絡を取り、自分だけで闇雲に動くと争族劇の2幕が始まることになり
ますが、行政書士のように手慣れた専門家に任せるとスムーズに事が進む場合が多いのです。
行政書士は弁護士ではありませんので、揉めずに事を納める予防法務の専門家です。
故に、慎重に知力を振り絞って対応策を練り、業務に邁進することになります。
さて、本題に戻します。
近年特に、相続問題に絡む家事調停や家事審判が激増しています。
その揉め事を唯一防げるのが「内容を精査した公正証書遺言を備えること、そして文中に
遺言執行者を指定しておくこと」なのです。
遺言書は、決して縁起の悪いものではありません。
遺言書を作っておくことは「残されたご家族への思いやり」なのですから。
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