遺言Q&A
遺言の関係で、相談の多い質問は下記の通りです。
特定の方を想定させる内容ではありませんが、具体的にイメージが湧くように事例を
脚色してお届けしております。
先ずは、質問の概略だけを先に列挙しておきます。
Q1、夫がなかなか遺言状を書いてくれません。
遺言状のことを話題にすると夫の機嫌が悪くなります。
どうしたら良いでしょうか?
Q2、遺言状は色んな種類があると聞きましたが、私にピッタリなのはどういう種類の
遺言状なのでしょうか?
Q3、自分で遺言状を書きましたが、どこか安全に保管してくれるところはありますか?
そして、自分の死後にその遺言状を遺族(相続人)の前で開いて読み聞かせて欲しいの
ですが、そういうサービスをやっていますか?
Q4、折角、自分で書いた遺言状の内容が絶対実行される保証はあるのでしょうか?
Q5、遺言書に自分の死後のことをなるべく沢山のことを網羅して書き残しておきたいの
ですが、何を書いても良いのでしょうか?
Q6、私の妻が病弱で入退院を繰り返しています。
私自身も健康を害していて長生き出来そうにありません。
子供達の中で面倒を看てくれる者に財産を相続させたいのですが、そういう内容の
遺言状は書けますか?
Q7、遺言を書いてしまうと自分の財産なのに自由に使えなくなってしまうのでしょうか?
もし、そうなら怖くて遺言状は書けません。
Q8、私達夫婦の一人息子が高校生の頃にバイク事故で高次脳機能障害になり、普通の
生活がおくれなくなりました。私達夫婦の老後も心配ですが、残された息子をどういう
風にすれば良いでしょうか?遺言状で有効な手当が出来ますか?成年後見制度も説明を
受けましたが、どういう風に組み合わせれば良いのかが難しくて分かりません。
Q9、建設会社を経営しています。近年公共工事が少なくなって金融機関からの事業用
の借入金が返済できなくなりました。従業員もかなりリストラしましたが、跡を継ぐ
予定の息子にも前途の見込みが付きません。私自身の健康も不安になってきたので
遺言状を作りたいのですが、どう書けば良いでしょうか?
Q10、妻が先に亡くなりました。私が経営者で事業をしていて、その資産と後継を巡
って子供同士の連れ合いまで巻き込んでの争いが起こっています。
私にとっては、どの子も可愛いのですが、遺言状でどの様に書いておけば良いのでしょ
うか?因みに長男と次男、参男とも私の事業所で働いて貰っています。
【鈴木事務所の提案回答例】
Q1、夫がなかなか遺言状を書いてくれません。
私達夫婦には子供がいません。夫婦で不動産の事業をしています。
今、夫が亡くなったら夫の兄や妹にも相続権があるのですが、なかなか私宛に遺言状
を書いてくれません。夫よりも義兄や義妹が先に亡くなったら、あまり縁の無い甥や
姪にも権利がいくと聞いています。
遺言状のことを話題にすると夫の機嫌が悪くなります。
どうしたら良いでしょうか?
A1、ポイントがあります。
貴女の不安はごもっともだと思います。
長年夫婦両輪で頑張ってこられた様子が目に浮かびます。
しかし、遺言状の心配もお互い様です。
財産のことだけを気にして、夫が先に死ぬことばかりを心配しているから機嫌が悪く
なられるのだと想像できます。
相手の親族も貴女が亡くなった場合に貴女の親族に行ってしまう遺産を心配しています。
きっと貴女のいないところで話題が出ているはずです。
ここは夫婦の当事者同士で、お互いが相手に対しての遺言状を相互に書くことでもって
納得を得られる可能性があります。
しかし、長寿社会になった現在では老いることのリスクの方が問題になっています。
アルツハイマーや介護の問題、後期高齢者医療制度や不透明な年金の問題など、将来の
不安が尽きません。
お互いの健康状態、財産状況、事業の行く末、老後をどのように暮らしたいのか、
お互いに介護が必要になった場合にどのように暮らしていくのかなどを、今の内に考え
ておき、その為の対処をどうするかを検討しておくのも必要と思います。
不動産業をなさっていると、世間のその種の問題を普通の市民よりは余計に見聞きして
いらっしゃると思います。
お互いに相手のことを心配して、どうして上げたいか、どうしておけば良いのかの視点
でお話になってみたら如何でしょうか?
そうしますと事は遺言状だけでないことが分かってきます。
ご心配になられたら、当事務所までお問い合わせ下さい。
老後の生前の手当も付けておくべきとお勧めします。
Q2、遺言状は色んな種類があると聞きましたが、私にピッタリなのはどういう種類の
遺言状なのでしょうか?私は、戦後の混乱期にしたの弟妹を母親と一緒に世話をしたり
大学に出したりするのに一生懸命で、その上母親の長い闘病を世話していたら勤めに出
るのが精一杯で、とうとう結婚のチャンスがありませんでした。
幸い母親の遺産相続は私一人に貰えましたので、住む家も年金もあります。
今は、一人暮らしですが気の合う甥姪が時折遊びに来て様子を心配してくれています。
交流の無い甥姪には残す積もりは有りません。
A2、ご弟妹やお母様のためにも十分に尽くしてこられた訳ですから大変なご苦労だっ
たとお察しいたします。
今は気ままな生活とのことですが、今後ご自身の老後のことを考えたときに、ご自分の
世話を頼める方に財産を厚く配分される遺言状を書いておかれることをお勧めします。
更に、任意成年後見制度の契約をされて任意後見人に世話を頼める方に就いて貰うこと
をお願いしておいても良いと思います。
何を頼みたいのか、何を頼むべきなのか、内容を良く研究されて、それでも全てを信じ
込まないよう、盲信しないように、信頼関係に緊張感を持たせる保険も備えておければ
より良いと考えられます。
一度、内容をご相談してみたいとお考えであれば、当事務所にお越し下さい。
Q3、自分で遺言状を書きましたが、どこか安全に保管してくれるところはありますか?
そして、自分の死後にその遺言状を遺族(相続人)の前で開いて読み聞かせて欲しいの
ですが、そういうサービスをやっていますか?
A3、自分自身で契約した貸金庫などに保管しておくことが一番です。
自筆証書遺言状を預かってくれそうな法律家の事務所もありますが、自筆証書遺言であ
るが故に、後の手間が掛かったり遺産分割協議のやり直しが必要であったりしますので
本当に相続手続きを分かっている法律家は敬遠されると思います。
自筆証書遺言は、相続人が全員揃えて家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。
大概は申し込んでから2ヶ月間前後の期間が掛かります。
そこまで要望をされているのならば、公正証書遺言を作って、遺言執行者を指定してお
き、スムーズな手続き執行を手当しておけば、ご要望の内容はクリアーできると考えら
れます。
Q4、折角、自分で書いた遺言状の内容が絶対実行される保証はあるのでしょうか?
A4、自筆証書遺言では、先ず見付けて貰えるかどうかも不安ですし、隠されたり改竄
される恐れもあります。
無用の混乱を生まないために公正証書遺言をお勧めしますが、その公正証書遺言の文中
に「遺言執行者の氏名、報酬の額」などを明記しておけば、遺言書の内容を速やかに
執行してくれる担保が出来ます。
遺言執行者には相続手続きの専門家である行政書士などを選んでおかれることをお勧め
します。
問題は、相続が発生したことを遺言施行者に報せる役目の方をしっかり決めておくこと
です。連絡がないと何も行動を起こせません。
Q5、遺言書に自分の死後のことをなるべく沢山のことを網羅して書き残しておきたいの
ですが、何を書いても良いのでしょうか?
少し難しく説明しますが、遺言書に書いておける有効な法律行為は、実は約11種類と
限定されています。
①相続分の指定及びその委託(民法902条)
②推定相続人の廃除(§893)または排除の取り消し(〃894条)
③遺産の分割方法の指定及びその委託並びに遺産分割の禁止(〃908条)
④遺言による担保責任の定め(〃914条)
⑤遺言執行者の指定(〃1006条)
⑥遺贈(〃904条)
⑦遺贈の減殺の順序・割合の定め(〃1034条)
⑧認知(〃781条)
⑨未成年後見人の指定(〃839条)
⑩祖先の祭祀主宰者の指定(〃897条)
⑪遺言の全部または一部の撤回(〃1022条)
かなり列挙しましたが、貴方の書かれたい内容が公序良俗違反(違法な要望)であったり、
実現性の低いもので無い限り、かなりの内容は書き残せます。
何々を遺贈するから、これこれをやって欲しいという条件付きでの書き方も有効です。
相続人が納得し易いためには、どうしてこういう遺言状を書いたのかの意思表示(説明)
を書いておくと揉め事が少なくて済みます。
Q6、私の妻が病弱で入退院を繰り返しています。落ち着いたら自宅で介護の生活に入ら
なければなりませんが、私自身も健康を害していて長生き出来そうにありません。
子供達の中で母親(私の妻)の面倒を看てくれる者に財産を相続させたいのですが、
そういう内容の遺言状は可能ですか?
A6、ある程度は可能です。
子供達の良識に任せて、『兄弟姉妹間で何とか頼む』程度の遺言状では、押さえ(保証)
になっていません。
ここは事前にしっかりと対策案を練って、誰にどの部分の財産権と抱き合わせで母の面倒
を看てもらうかの意思表示を明確にしておきましょう。
その一例ですが、面倒を看る者に全ての資産を名義変更をして相続させてしまうのは、
後々の状況が変わった時に、対応し切れなくなる可能性があります。
母親も自身の面倒を看て貰ったり、介護して貰うことへの遠慮から『自分は何も要らない』
と言い勝ちですが、これが取り返しの付かないトラブルの原因になります。
一番良いのは、将来の任意成年後見制度や生前監護の契約をした上で、母親に全ての財産
を相続させる事を相続人の皆に納得させることです。
そして、同時に意識が明確な内に母親にも遺言状を備えさせるのです。
何かあったら全てを相続した母親が自身の費用を負担し、その後の相続で母親の面倒を
ちゃんと頑張って看た者に相続財産を他の相続人よりも余計に配分する事を明記しておく
のです。
それで、予想しない揉め事は少なくて済みます。
Q7、遺言を書いてしまうと自分の財産なのに自由に使えなくなってしまうのでしょうか?
友人と旅行に行きたいし、病気になったら子供に面倒を掛けたくないので自分の入院費用
や手術代を自分で負担しようと思っています。そういう費用を自分で支払って減らしては
いけないんでしょうか?
もし、そうなら怖くて遺言状は書けません。
A7、これは、実によくある世間一般の勘違いです。
財産はあくまで自分のモノです。
自分が亡くなるまで、自分の意志で好きに使えます。
その上で、指定口座に残っている預貯金の金額や不動産、その他資産を相続させるのです。
その際に、例えば不動産に抵当権が附いていても、それは別に構わないのです。
その不動産を誰に相続させるのかが明記してあれば良いのです。
通帳も残高は関係ありません。
Q8、私達夫婦の一人息子が高校生の頃にバイク事故で高次脳機能障害になり、普通の
生活がおくれなくなりました。私達夫婦の老後も心配ですが、残された息子をどういう
風にすれば良いでしょうか?遺言状で有効な手当が出来ますか?成年後見制度も説明を
受けましたが、どういう風に組み合わせれば良いのかが難しくて分かりません。
A8、ご心配だと思います。
これは現在保有されている資産や親御さんの生活状況などをかなりの状況をリサーチして
出来ることをご提案致します。
概要のポイントとしては、お子さまに任意成年後見人(複数可)を付けた上で、
『相続時精算課税制度』を利用して、障害者年金に頼らないでも生活が出来るような
将来の収入が継続して得られるような仕組みを作っておかれることをお勧めしています。
どういう仕組みがよいのかは、その都度選択をする必要があります。
Q9、建設会社を経営しています。近年公共工事が少なくなって金融機関からの事業用
の借入金が返済できなくなりました。従業員もかなりリストラしましたが、跡を継ぐ
予定の息子にも前途の見込みが付きません。私自身の健康も不安になってきたので
遺言状を作りたいのですが、どう書けば良いでしょうか?
A9、このケースは遺言状の問題ではありません。
すぐ実行すべきは、事業の再リストラもしくは会社の清算も視野に入れた対応策を
講じることです。
悪い循環をそのままにしておくと、どんどん資産を食い潰し、被害を広げてしまいます。
少しでも余力のある内に精算をして、息子さんの代に新規事業で盛り返すか、他社の
従業員になることも考えに入れるべきとご提案します。
Q10、妻が先に亡くなりました。私が経営者で事業をしていて、その資産と後継を巡
って子供同士の連れ合いまで巻き込んでの争いが起こっています。
私にとっては、どの子も可愛いのですが、遺言状でどの様に書いておけば良いのでしょ
うか?因みに長男と次男、参男とも私の事業所で働いて貰っています。
A10、人物を見ないでお話しすることには難しさもありますが、長幼の序を守るのも
一手段ですし、折り合いの悪い他の兄弟を外で独立させるのも一手段です。
平成20年に兄弟を同じ会社の代表取締役社長に就けた事例がありましたが、早晩、
会社の組織の風通しが悪くなると予言します。
どちらかを別事業で外部に出すべきだったと岡目八目で断言します。
こういう状況を整理するのは、遺言では出来ません。
長男に、実力と押さえる力が無ければ、どこかで不満が押さえ切れなくなると予想され
ます。

